ふむ

今、世界一足の速い男は誰だ?おそらく、100メートルを10秒以内で走るウサイン・ボルトだろう。おれの知る限り、フットボール界でそんなに早く走れるヤツはいない。だが、11人対11人で戦うフットボールの試合では、ボルトは”遅い”選手になるはずだ。

 逆に、デコ(元ポルトガル代表)を見ろ。もしあいつがボルトと100メートルを競走したら、悲惨な結果になるのは間違いない。だが、フィールド上では、俺が知る中でも有数の”速い”選手だ。状況を素早く分析し、それに対してすぐに対応できる速さをもっている。ポジション取り、ボールの位置の把握、相手の次の動きを読むこと、そういった能力に長けているのだ。

 要は、従来の意味で遅いとされる選手でも、もっと高度で複雑な視点から見れば”速い”選手になる。これこそ、私が前々から言い続けている「個人競技の観点から団体競技の選手を判断してはいけない」という言葉の意味なのだ

そう。だからプログラミングの天才でも俺にはかなわないってこった。