システムとシャンパーニュ

システム開発を表現するのに、


「妊婦が9人集まっても子供は一ヶ月で産めない」
サリエリが5人集まってもモーツァルトのレクイエムは書けない」


というような表現がある。
言い得て妙である。
つまりは、時間をかけなきゃできんもんはできんし、無能な人間リソースが大量に合っても大量生産品でないんだから「良い物を大量に」なんてものは神話でしかない。




もうちと分解してみよう。



「妊婦が9人集まっても子供は一ヶ月で産めない」とはどういうことか?
たとえば、シャンパーニュAOCの規定で3ヶ月熟成させなくてはならない。だから高い。
一方カヴァやスプマンテなどはそういった規定はない。だから安い。(もちろん熟成期間が長いスパークリングもあるけどそういったものはシャンパン並に高い)
いいものは時間をかけないとできない。至極当然である。
しかし、システム開発はどうかというと、長い時間をかけてもクソシステムしか作れない日立のような企業がいるおかげで、「長い時間かける=悪」という風潮が広まってしまった。彼らのせいで。
その結果、消費税を変更するだけでやれ何億だの何年だのという話になるのである。


長く熟成させれば品質の良い物ができるという自然の法則を逆転させてしまったのだ。
クソポコペン共が二三日で作り上げるソース規約もコメントもなにもないめちゃくちゃなコードが量産され、その素早さ(ちまたではこれをアジャイルというらしい)をコストダウンなどという「良い物」というのは常識らしい。


で、この件がどういうときに悪影響を与えるかというと
「納期が短くなった!人数投入するからさっさと仕上げてくれ!」
というパターンのときである。
他の業界のことはわからないが、システム業界には3つの柱がある。
「スコープ(やること)」「納期(やれる時間)」「リソース(費やせる人・物・金)」である。
納期は短くなる。
スコープは小さくならない。
しかしリソースは増やせるわけなんだが、リソースを増やしたとしても限界があるのである。
というか、リソースを増やして納期を間に合わせることができるのは単純労働だけ。


だから最善策はスコープを小さくすることしかないんだけど、「短い時間で終わらせる=善」と思っていて、しかも納期に間に合うかどうかしか頭に無い人達にはそんな言葉は通用しない。
そうして引き起こされるのがちまたの新聞を賑わせている情報漏えいやら人災やらの災害である。





サリエリが5人集まってもモーツァルトのレクイエムは書けない」とはどういうことか?
まぁ言葉のとおりなんだけど、バカ中国人が数百人集まってもいいものはできないってこと。
それは至極当然。
でも、ジーンズを大量に安くはできる。
で、ジーンズとシステムを同等に考えるバカ日本人がいっぱいいるということが問題。
このことがわかっていないからこそ
「納期が短くなった!人数投入するからさっさと仕上げてくれ!」
とか言ってしまうのである。



こういったことは40年くらい前から問題になってたらしいんだけど一向に解決する兆しを見せない。
バカ日本人はいまだに「要件をしっかり決めて変更を許さなければ(スコープを固定するという意味)納期どおりに仕事は終わる」と言っている。
自分で自分の首を絞めていることに気づいていない。
どういうことかというと
「納期どおりに要件を満たさないとダメなんだよ!だから徹夜してでもやらないと!約束は社会人として守らないとダメだろうが!!」
この、「要件を約束」してしまう契約形態がマズいのである。


んじゃあ、なにを約束すればいいのか、どういう契約をすればいいかというと、まだよくわかっていない。
たぶんそれがわかってる企業はこれから億万長者になるだろう。
俺もそのへんは模索中である。
そして一緒に模索してくれる人を募集中であるww