ふと思い出す

前にも書いた気がするけどまた書く。


俺が社会人になって二年目。
某大手運送期間に出向していたときのはなし。


出向で飛ばされる捨て駒なんて、往々にして汎用機の歯車雑用しかやらせてもらえない。
毎日毎日朝一で運用会議をし、寒くて周囲の音が聞こえないほどうるさいモーター音のサーバールームの中で淡々と独りでいろんなところに散らばったテープを探し、台帳を書きいろんなところに散らばったシステムに出し入れする。
全ての感覚がなくなるような日々をすごしていた。


基本的にエラーが発生するとわれわれにはすべきことがない。
エンジニアとしてはいろいろ探すのが常識と思われるかもしれないが、契約的にヘタなことはやってはいけないのだ。
なにかあると担当者に連絡して応援が来るまで待たなくてはいけない。
数十分、数時間にもなる場合がある。自分の仕事もあるのに。
基本的に担当者は権限的に上位の会社、いわゆる元請け的な位置にある企業の人間である。
名前的には*陸である。
なので、われわれはどんな人間かも知らないし会話をすることなんて一切ない。
エラーが起きたときだけその日の担当者が来て業務連絡をして終わるだけである。



ある日、いつものようにエラーが起きた。
「エラーだ」程度にしか思わなかった。
最初こそ、また待たないといけないのか・・・と自分で解決できないことにもどかしさを憶えていたが、じきにそれもなくなっていった。
いつものように担当者に内線で連絡する。
女性が出た。
俺「あの・・・エラーが発生したんですが・・・」
女性「あー・・・・ちょっと今担当者が席を外してまして・・・」
俺「了解しました。また後ほど・・・」
内心、またかと思いつつも諦めていた。
女性「でも、サーバールームにいるんですよね?寒いですよねー?」
俺「!?・・・いえ・・・」
女性「じゃぁ、少々お待ちください。私が行きますので・・・」
と言って、担当でもないのに来てくれて対応してくれた。


社会人になって初めて人間扱いされた瞬間だったのかもしれない。